今回は穴の空いた服の修理の方法をご紹介。「自転車のチェーンに引っかかってパンツに穴が空いてしまった」「しまっていた服を出したら、虫に喰われていた」などなど。こんな経験、1度はないだろうか?自分は何度もある。そのたびにテンションは下がり「これは、コーディネイトのスタメン落ちだな」なんてことも少なくない。
だが、穴が空いただけで「さようなら、ポイッ!」は少し悲しいものがある。最近は、サスティナブルやSDGsなど環境を意識した言葉もよく耳にするようになってきた。そのためか「簡単にゴミにしてしまうのは何だか心苦しい」なんて人もいるだろう。
「ちょっと穴が空いたくらいなら自分で直してしまおう!」というのが今回の目的である。直せる服をお持ちであればぜひチャレンジして頂きたい。
目次
服に穴が空いてしまったら、どうすれば…。
今回は、わかりやすいように2種類の動画を作成した。動画で見た方が理解しやすいという方は、動画を見て実践してみて欲しい。
修理の手順は以下の通り。
- 穴の空いたヵ所をチェック
- 服に合った布と糸を用意
- 穴をふさぐ用の布を穴の下に置く
- 上からミシンor手縫いでひたすら縫う
工程はいたって単純なので、ミシンが使えれば初心者でも簡単にできる。もちろんミシンが無い方でも手縫いで対処可能。昔の人は手縫いでやっていたのだから、不可能ではない。ただ手縫いは単純だが時間がかかり大変なので、縫いが好きな方以外にはおすすめできない。
必要な道具
- 布(できるだけ服に近い色)
- 糸(服に近い色)
- ハサミ
- ミシン(なければ手縫いでも可)
- リッパー(あると便利)
- しつけ糸(あると便利)
- 手縫い針
穴が空いたヵ所をチェック

同じものを入れる習慣があるとダメージが蓄積するので、どうしても穴が空いてしまう。これは仕方のないこと。今回は、スマホを良く入れていたポケットに穴が空いてしまった。スマホの角が生地に負担掛けてしまい、穴が空いたようだ。結構あるあるではないだろうか。

こちらも同じように、スマホやカギを入れていた箇所に穴が空いてしまった。ジーパンなので、どうしてもポケットの袋布にダメージがかかってしまう。ここは直しにくいので、なかなか厄介である。
修理箇所をどのように直すか考えながら確認すると、作業を進ませやすい。
服に合った布と糸を用意
修理する服の色合いや素材感が似た生地を選びたいところ。ただ、 ミシン糸でほとんど隠れてしまうので、完璧に同じ色である必要はない。服と近い色合い程度で大丈夫だ。生地と糸は100円ショップやネットで購入できるので問題ないだろう。もし理想の色合いを追い求めるのであれば、手芸屋さんや生地屋さんに出向いて、選ぶのが確実である。生地屋で布を買ったことがない方は少し不安に思うかもしれないが、いたって簡単である。布の購入方法は以下のとおり。
生地の買い方
- 生地屋・手芸屋に行く。
- 気に入った生地があればロール状のまま店員さんのもとへ(レジ)行く。
- 店員さんに「どのぐらい必要ですか?」と聞かれるので、必要な長さを伝える。
- 店員さんが生地をカットしてくれ、レジでお会計をする。
心配することはなく実にシンプルである。ただし、購入前に確認しておきたいことが1点。お店によって最低限カットしてくれる長さが違うということ。お店によっては「1m以上からカット可能」と「10cmからカット可能」の2つの場合に分かれる。修理用に布が必要な場合は、10cmで十分なので10cmで購入できるお店がおすすめだ。
また、値段の表示はお店によって異なるが、大抵は1mの値段で記載されている。
- 例) 1m ¥770税込み 10cm購入の場合金額は77円
生地にタグが付いているので、購入前に確認してみるといいだろう。また「幅110」と書いてある場合、生地の幅は110cmということ。10cm購入すると10cm×110cmの布が購入できるということである。1m購入すれば100cm×110cmの布ということ。
修理用に購入とはいえ、幅が広いと布が余ってしまう。余分な布は、コースターやマスクケースを作るなり工夫をするといいだろう。以前巾着の作り方を紹介したので、ぜひ参考にしていただきたい。個人的には、ボール型巾着がおすすめ。
生地は服に近い素材感と色合いを選ぶのがベスト。特に糸は、同じ色を選びたいところ。
穴をふさぐ用の布を穴の下に置く

敗れた箇所によっては、まず縫製部分をほどかないといけない。今回はポケットの穴なので、少しポケットを外す。

使っている道具は「リッパー」。手芸店はもちろん100円ショップでも買えるので、1つ持っておくと縫いをほどくのに大変便利である。

上の画像が、修理しやすいようにほどいたものである。次に本題。穴の下に布を敷き、固定する。布は穴より大きめが良い。固定はしつけ糸が理想だが、無ければミシン糸でも構わない。(しつけ糸を使う理由は固定しやすく、取り除きやすいからである。)

ミシンをかけているとき、ズレないようにある程度布を固定出来れば◎。
上からミシンをひたすらにかける

始めはミシンをかけ布を固定する。再び同じような穴が空かないように、穴の周りも補強すると長く使い続けられる。しつけ糸の内側を縫い、ジグザグに縫い進めることで、下の布と服を固定できる。(ジグザグに縫う理由はしっかり布を固定するため)

布の固定ができたら、ミシンを上下に縫い進め、穴を塞いでいく。上下の動きは少しコツがいるがすぐに慣れるだろう。縫い付ける服によって糸の太さやミシンの針目を変えるとより自然に仕上がる。服の目立たない箇所で練習しておくと上達スピードは速い。
上下のミシンかけは、最初はゆっくり。慣れたらスピードを出して縫ってみよう。
横か縫うか縦から縫うかそれが問題だ(応用編)

修復が終わると上の画像のようになる。画像の修復でも目立たないが、近くで見ると直した箇所がすぐにわかる。生地によって経糸(たていと)緯糸(よこいと)の太さが違う。今回の服の場合、緯糸(よこいと)が目立つので、横縫いをすればもう少しキレイに仕上がっただろう。
修復後に「経糸の方向が気になるな」という方は、上から横に縫うと自然に仕上がるだろう。(その分厚みが出てしまうので注意が必要ではあるが。)
穴の修復が終わったら、元の形になるように縫いなおそう。縫いなおしをしたことがない方は、経験値を積み重ねるチャンスだと思ってチャレンジしていただきたい。

完成はこんな感じ。補強もしたのでさらに長く使い続けられるだろう。因みにこのパンツは10年以上使っていて、今回初めての修理である。あと10年は履くと思われる。
服の繊維方向に縫い進めると、自然で目立たない修繕が可能。生地によってわかりにくいので、見えない部分で試し縫いすると良い。
まとめ
今回は、服によくありがちな穴の修理について解説した。穴の修理は非常に単純で、実は縫製初心者の方でもできてしまう。穴が空いて修理に出すか、捨てるか迷った方は一度チャレンジしてみて欲しい。モノづくりを楽しむきっかけにもなるだろう。この記事が参考になれば幸いだ。
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